赤ずきんチャチャ
「10 years after...」
トントン。
「鍵開いてるよー。遅かったじゃん しいねちゃん」
「いやーゴメン、臨時の塾講のバイトはいっちゃって」
かわりにホラ お土産持ってきたから」
「お土産 なになに」
そこはリーヤが一人暮らしをしている安アパート。
まじかる学園を卒業して 幾年月…
今日は久し振りに三人集う 飲み会の日である。
「まぁ、いーじゃない。じゃあ はじめましょう かんぱーい」
チャチャが乾杯の音頭をきる。
「しっかしチャチャさん よく抜け出してこれましたね
行き先 なんて云ってないんでしょ」
「チャチャは 今や深窓の王女さまだからなぁ
俺なんか もう城の中にも 入れさせてもらえないんだぜ」
「うーん、ごめんネ。でも、ホラ今日は顔出せたから ね」
過ぎ去った学園生活に、今の変わった近況に話を咲かせる三人。
チャブ台の上の缶ビールは 次々と開けられ
しいねちゃんの持参したつまみも どんどん封切られていく。
やがて…
「いやー飲んだなぁ。もう 酒なくなっちゃたのか」
「リーヤ、飲みすぎだぞ。半分はリーヤ一人で 開けちゃったじゃんか」
「しいねちゃん 細かーい。楽しかったから いーじゃん。いーじゃん」
宴は進み それぞれにクダをまく三人の男女。
「……チャチャさんは いつもそう。
昔から いっつも、リーヤの肩 持ちましたよね」
「だってーリーヤ ふわふわで 可愛いんだもん」
でも、しいなちゃんも 昔っから可愛かったよ」
「嘘 云わないで下さいよ。『私とリーヤはラブラブだもん』って云ってたじゃないですか
僕の 気持ちなんて知りもせず…」
「おぃ、しいねちゃん。そんな からむなよ」
「じゃあ どっちが好きなんですか 僕とリーヤ
いゃ 歳相応に どっちに抱かれたいですか チャチャさん。
…ほら 答えられないでしょう」
「いい加減にしろって しいねちゃん」
飲み食い散らかした 四畳半の部屋を張り詰めた沈黙が支配する。
「……リーヤは 私のこと 好き?」
「! …好きだよ。前からチャチャしか おれには見えてなかった」
「しいねちゃんは 私のこと 好き?」
「…質問を質問で返すなんて ズルイ気がしますけど
こんな酒の宴でもあるし あぁ、うぅ。ゴニョゴニョ…
えーい、えぇ そうですとも ぼくだって
ずっとチャチャさんの事 好きでしたよ さぁこれで満足ですか」
「ありがとう。私も好きだよ。
二人とも。
どっちかだなんて 選べないよ」
…私 今度王位継承するんだ。だから今日が
こうして三人会えるの 最後になるかもしれないんだよ」
チャチャの突然の進路告白に息を呑む 男二人。
「みんな みんな…大好きだよ。
だから 抱いてくれないかな 私のこと」
年月は流れる。
その時チャチャが浮かべた表情は、
どうしようもない時の流れを二人に実感させる
大人びた そして、チャチャらしい そんな笑顔だった。
そしてチャチャは二人へ ゆっくりと大きく手を差し伸べる。
「チャチャ」
「チャチャさん」
そう、次の日曜は次代女王誕生の式典。
まじかる学園の同級生 仲良し組三人組は
最後の思い出となることを 承知しつつ、
安アパートの下 想いを 身を重ねていく…。
赤ずきんチャチャより
(左から) リーヤ、シーナちゃん、チャチャ
「10 years after...」
リクCG 3番目は赤ずきんチャチャから、
三角関係の図「みーんなお友達♪(彼氏)」です。
または、赤頭巾を襲う飢えた狼の図でもいいです。
学園を卒業して、青年となった三人。
いつかくるこんな複雑な関係も チャチャなら
おおらかに3P OKって包み込んでくれるでしょう
…ってイメージで 描きました。意外なアレンジかもしれませんが
如何なモンでしょうか。
って思ってたんですが、今ネットでチャチャのこと調べてみたら
ノーマークの原作ではリーヤと 結婚してたんですね。
マジカルプリンセスも スポンサーの都合からで
漫画には一切登場しないって云うし…
という訳で コイツはアニメ版からの SSでした。
2001-3/22