"花右京メイド隊"より
「ずっと お待ちしておりました」


 うーん、うーん、うーん…

  がばぁッ

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」
 今 何時なのだろう。豪奢なカーテンの 僅かな隙間からさす月明かりを頼りに
日本有数の大財閥、花右京家の当主となった花右京太郎は 辺りを見回した。

(……またか)
 中学生の彼の身体には余りある 広大なダブルのベッドに
太郎を挟むように お側御用隊の三つ子姉妹の、いちご、りんご、さんごの姿があった。

「…もぅ 止めてくれって、云ってるのに」
 太郎が 軽く吐息をもらすと
「…ぅ、うぅん」
 りんごが少し身動ぎした。
「ゴメンよ。……寝顔だけ見てれば 可愛いのにな」
(そう、彼女達は悪くないんだよな。花右京家のメイドの務めとしてでも、
 こうして、四六時中 僕の為に ご奉仕してくれているんだから)

 いたずら好きのさんごの寝顔が むずむずしている。
太郎は その顔に落ちたほつれ毛を 手を伸ばし軽くすくってあげた。
  ゾクゾク…
(…悪いのは この僕。これだけで 身体中 総毛立つような
 この重度の女性アレルギーが 嫉ましい)

「なんか、目が覚めちゃったな。水でも飲みに行こう」
 太郎は 三つ子姉妹を起こさぬように 静かにベッドから離れ 部屋を出た。
蝋燭の明かりが 延々と並ぶその廊下の 果ては見えないほど 広く 薄暗かった、深夜である。

 水、水は…と、太郎は この屋敷に来てから随分経つが
未だに屋敷内の自分の寝室の位置さえ 地理的に把握出来ていない、
地理…間取りを地理に喩えられるほど この屋敷は広大なのだ。

  シャワワワワワワワ……
 シンと静まり返った 廊下に水の流れ落ちる音が ドア越しに聞えた。太郎は戸を開けて その部屋へ入った。
どうやら 浴室のようである。普段 当主である太郎の使ってる大浴場とは まったく違う
ごく普通の 洗面所と浴室が隣合った部屋だ。

(誰かシャワー 浴びているんだ。ちょっと失礼。すぐ出ていくからね)
 蛇口を捻り 水を飲み干す。
その時

 ガラッ…
「!」
「…太郎様」
 濡れた髪も艶やかに バスタオルを身体に巻いた 
メイド長にして 何故か太郎のアレルギーが発症しない唯一の女性
その為か 太郎が この美女だらけのメイド軍団のなかで
唯一人 異性として意識している マリエルが現れた。

「こっ、これは その、あぅ」
「…どうなさったんですか こんな夜更けに」

「いゃ、あのその ゴメン。
 あっ…そぅ、マリエルに 話があったんだ」
「そうですか。では少々 お待ちを」

 5分後 太郎とマリエルは マリエルの自室にいた。

「こんな遅くまで仕事だったんだ 大変だね」
 やっと人心地を取り戻した 太郎は話しかけた。

「いえ…この花右京家を預かるものとして 当然の務めです。
 それに 太郎様に仕えるのは 私の夢でしたから」
「マリエルの夢?」
「えぇ、私の 夢。だから 今はとても幸せです」

「……マリエル、
 ここで始めて会った時も 僕のこと 知ってるみたいなこと 言ってたよね。
 それに 僕のこの異常なまでの 女性アレルギーが 何故か マリエルだけには 発症しない。
 なにか 僕の知らない 僕を マリエルは 知ってるのかな」

 咄嗟の言い訳から 口にした「話がある」だったのだが
静まり返った広大な屋敷、思わぬ見てしまったマリエルの裸身、彼女が嬉々として口にした"夢"…
マリエルとの距離が 不意に近くなったような気がしたのか
今までどうしても 聞けなかった事が するりと太郎の口から出た。

「………」
「やっぱり 僕は知らない方が いいのかな?でも、僕自身の事なんだよね
 いつかは 知らなくちゃいけないと 思うんだ」

 長い沈黙。
「……分かりました、太郎様」

 マリエルは席を離れ 軽く開いていた カーテンを閉じて 太郎に向き直った。
そして、メイド服の 襟元の蝶ネクタイを静かに解いていく。
「!」
 太郎の困惑も介さずに フリルのたくさん付いたエプロンスカートを床へ落とし、
ブラウスの胸のボタンを 上から順に外していく。
 カーテン越しに透ける月明かりを背に マリエルの白い裸の肩があらわになった。

「分かりました 太郎様、全てを お話しいたします」


歌の歌詞 斜めで見ると凄いよね。


花右京メイド隊より

「ずっと お待ちしておりました」


 最近 80年代ジャンプねたばかり やってるんで 
今回は うって変わって 只今絶賛テレビアニメ放映中の「花右京メイド隊」(この萌えネーミング♪)を取り上げてみました。
 始めに言っときますが 私 もりしげ氏の原作漫画 全然知りません。
なもんで、大事な話のキー"なんで太郎のアレルギーはマリエルには出ないのか"の訳も 全然知りません。
上記の 私のお話も この後の展開は私でさえ 考えていません。(まぁマリエル脱がしちゃったら製作者側のセンス疑いますけど)
追記しておくと もし、原作知っていても 放映中のテレビアニメのネタばれ するようなコトはしないと思います。
 この辺が 現在進行中の タイトルの同人の難しいところですね。
 なので、ファンの人 マリエルと太郎は こんな関係じゃ無いって文句 云わないでね。
主とメイドってのを 知らない人にでも(CGメイド服着てないからね)分かってもらいたかったんで…

 マリエル 翌週の放送で 温泉ネタやって乳首みせてくれました。なんだかな〜

2001-05/17