「こわいよ まことサン!!」


「いちょうの舞う頃」Typesより

「Friend.…?」








「おめでとぉ!!」

 家の玄関をくぐった俺たちの上に 突然クラッカーが打ち鳴らされた。

「わぁ」

 突然のことに 抱きついてくるまこと。

「おめでとう、吉沢さん。ふふ いきなり見せ付けてくれるわね」

 そういったのは杏子先輩だ。
ここには 妹の友美だけじゃなく、杏子先輩、勝典 そして杏子先輩の後輩の千枝ちゃんと、
河原であった眼鏡っ娘もいる。

「やったね、アニキ」
 友美が肘で脇腹を小突いてくる。

「でかしたぞ、悠介」
 勝典は俺の肩をたたいてきた。

「指輪、やくにたったみたいね」
 と、杏子先輩。

「どうして、みんなが…」

「あたしが呼んだのよ」

 と自慢実に友美。

「もし、アニキがまこちゃんを かっさらってこなかったら、
 みんなで とっちめてやろうと思ってね」

「………」

「さぁ、今日は盛り上がるわよ」

 杏子先輩はやけにはりきっている。

 その日の まことの誕生会が、今までの中で 一番盛り上がったことはいうまでもない。

 友美は無理して酒を飲んで酔っ払うし、勝典は俺の背中をバンバン叩いてくる。
杏子先輩は告白の様子をあれこれ聞き出そうとしてくるし,千枝ちゃんは酔った勢いで
先輩に抱きついたりだ。一人おとなしかった眼鏡っ娘は、まことと何かを話しているようだった。

「おい 悠介、お前も飲めよ」
「そうだぁ アニキも飲めぇ」
「うわぁ 友美のやつ 酔っ払っているのか」
「悪いかぁ…うっ…まこちゃん……おめでとう」
「ありがとう ともちゃん」
「へへへ…アニキ,まこちゃんを不幸にしたら、とっちめてやるんだから…」


 そして、異様な盛り上がりをみせた誕生会もついに終わった。
俺は 酔いつぶれた友美を部屋に寝かせると、まことを送ろうと外へ出た。

「………まだ はなれたくない」

 二人、手をつなき見詰め合う。

「それじゃ…」

 手をゆるめ 帰ろうとするまこと、しかし俺は 握り合った手を離さなかった。
どころか より一層力をこめる。
 
 そして、そのまま引き寄せてキスをする。すこしもがいたまことも
俺の腕の中でささやくように言った。

「今夜は そばにいて…」



まことは一つ年上の幼なじみです(だから妹 友美と仲がいい)


「いちょうの舞う頃」Typesより 吉沢まこと  

                             「Friend.…?」

 「いちようの舞う頃」…ちょうど今くらいの季節なのでしょうか。1998年に発表されたタイトルなのですが,
専門誌の記者が同年の俺的ベストヒロインに同作品の綾瀬杏子を挙げて一押しとしてるトコに興味をひかれ購入しました。
感想は今までのHゲーには無い独特の雰囲気、これに尽きます。

 舞台は都心から電車を乗り継いで1時間くらいの街−「茜ヶ丘」。
 主人公 秋山悠介と吉沢まことは幼馴染で実の姉弟のように育った。
 やがて年頃になり互いが男と女であることに気づいた二人…早く大人になろうとする悠介
 いつまでも子供でいたいまこと。傷付け合い、戸惑いながら二人は大人になっていく。

 少し重い独特のメッセージ送り、妹友美の「ゆさゆさ」で起こされ始まるエンドレスな日々、
妙にオーケストラで重厚な音楽(「雫痕」「ONE」と並びCDコンポの必須ナンバーだったりしてる)
赤面すること請け合いな古典少女漫画的エピソード
凡てが秋を感じさせます。
 恥かしいのは確かにあります。ですが、ここに断言します。
「私ははまりました。「-7-seven」も買いました。」
 キャラ的にはメガネっ娘の若月みやこをぬかした三人(攻略可)あんど妹とかーちゃん(攻略できません)みんな よかったなぁ。

2000-11/27