下級生より


「約束ちゃんと守ってくれるのなら…」
「守るのなら?」
「OKよ」

 卯月学園三年の新学年を迎えた春…
俺は学園のテニス部のアイドル結城瑞穂をデートに誘ったんだ。
今思うとあれが高校入学以来の
俺、稔、みこちゃん、そして瑞穂の四人の関係が変わった瞬間だったのかもしれない。

 卯月駅前で待ち合わせして、食事、"ミラクル座"での恋愛映画。
卯月学園の軟派師の二つ名を持つ俺としては死ぬほど陳腐で定番のコースだったのだが、
瑞穂の前の俺には、それが精一杯だったんだ。

 それから俺と瑞穂の関係は始まった。

 さくら散る"世界一公園"の芝生の上で瑞穂の手作りの弁当をつついたこと。

 瑞穂の趣味の魚を調べに行った、デートと呼べるかも謎な窓から
五月晴れの差し込む光に溢れた卯月市立図書館。

 翌週、準備万端、二人楽しみに行った"まんぼう亭水族館"。

「家までおくるよ」俺。「ありがとう」瑞穂。
「お礼なんていらないって、俺も帰り道だし」毎週末のデートの後のおなじみの遣り取り。

 "ハッピーストライク"ボーリング場で現役テニス部の瑞穂と帰宅部の俺は
堂々タイの勝負を演じてしまい、リベンジを誓った梅雨のあの日。

 家の玄関の扉を閉じる瞬間まで笑顔だった瑞穂に、
(二人はなんとなく上手くいきそうな気がする)と思った初夏の月夜。

 夏休み、苦労してとったチケットでのコンサートの余韻にひたりながらの帰り道、彼女をはじめて抱きしめた。
好きだという俺の声に、腕の中で瑞穂はうなづいてくれたんだ。

「明日は何してるの?」
「明日の俺は瑞穂とデートすることに決めているんだ」
「う、うれしい…」とてもじゃないが他人には聞かせられない二人の長電話。

 夏休み最後の日、みこちゃんの家"指きり神社"の夏祭りの夜。
人だかりから二人離れて花火を観ながら、ちょこんと隣に座る浴衣の姿に抱き寄せキスしてしまった事。
「初めて…だったんだから、もう。でも好き。大好き」
 ちょっとふくれた顔が花火の灯りに浮かび上がったかと思うと、次の瞬間には頬を染めた笑みに変わっていたっけ。

 二学期になっても俺たちの関係は続いた。

"横島ナンパ遊園地"でのデートの別れ際に、俺は二度目のキスをしたんだ。
今度は彼女の方から目を閉じてきてのキスだ。
俺は唇に瑞穂を感じながら彼女の胸に手を伸ばした。
「あっ…」
(み、瑞穂の胸だぁ)
「い、いや…そんな事。んっ、しない…で」
(はぁ、柔らかぁい。本気では嫌がってないよな。)
「きゃ」
(み、み、瑞穂の×××だぁ!)俺の手はとまらず彼女の生足の太腿の間を覆う。
「だ、駄目よ。こんな所で、お母さんが出てきたら」
「瑞穂、俺、好きなんだ」
 俺の情熱に、しがみつくように抱きついてきた瑞穂は言ったんだ。
「今日はもう駄目。これでお終い。
でも、でもね。
わ、私だって…普通の女の子なんだからね」
 真っ赤な顔で潤んだ目を俺と合わせて言うと、いつもとは違って大急ぎでドアの向こうに消えた瑞穂。

 そして…
今日のデートは卯月児童公園。二年前から四人でよくだべってた所だ。
おれこれ思い出話に花を咲かせる二人だったが、どこか落ち着かない雰囲気が終始流れていた。
 そして俺は意を決して言った。
「お、俺、瑞穂と二人きりになりたいんだ」
 ビクリと大袈裟に反応すると真っ赤に俯く瑞穂。やがて静かに、
「学校に行こ」
 今日は三連休の中日。学校には誰もいないはずだ。
「お、俺、昔パクった合鍵取ってくるからちょっと待ってろよ」
「わ、私も制服着てくる」

 三十分後、秋風に冷たくなった瑞穂の手を握り、俺たち二人は卯月学園に向かった。
非常口のドアを開け、無人の廊下を二人歩く、行き先は3年C組、俺たちの教室。
 ガラッと大きな音を立てて開けたドアの向こうは真っ赤な世界だった。
夕日がもろに差し込み、無人の教室というのもあって
何所か非現実的なそれでいて物悲しくなるような不思議な空間がそこにあった。

手がデカイ



「この卯月学園で私たちは出会ったんだよね」

暖かな秋の夕陽と長い影に染め上げられた教室に入ると、
卯月学園三年C組の俺たち二人の緊張は
何故か跡形も無く消えうせた。






下半身もデカイ



「今日は、私にとって忘れられない日になるの」
 
頬を紅潮させ幸せそうに目を細める瑞穂。
やさしくあいづちを打つと、瑞穂は俺の身体の下で
心からの満面の笑顔を浮かべる。







腰と頭が微妙に小さいのが悪いのね


「下級生」より
 結城瑞穂

「夕暮れの学び舎で」


 四十万切り番リクエストの一つ目はelfの「下級生」より
容姿端麗成績優秀性格良しの否の打ち所の無い(わりには地味?)メインヒロイン結城瑞穂嬢でした。
絵描いた後に、昔やった事あるので雰囲気思い出すためにネットで他人様のSS探したりしたのですが
なんだかどれも目を覆いたくなるようなラブラブ物ばっかり…
こりゃ参考にならんと3.5インチディスク引っ張り出してMS-DOS版を実際にはじめたのですが
'96発表、5年前の作品なので思い出として美化してるかもと心配もあったのですが
やはり傑作は色あせて無かったです。
 ゲーム下級生のテーマは「一年間の交際」ですね。
徐々に関係が深まり俺色に染まっていくヒロイン達、
その辺のニュアンスが少しでも伝わるといいのですが…
 ラブラブ話はゲームやった後見てみたら後日談として納得もいきました。
ユーザー自身も下級生ワールドに染められてしまう…そんな
リーフの「痕」、フェアリーテールの「同窓会」、D.O.の「虜」と同時期96年発表
プロディース蛭田のelfのゲームです。OVAは知らない。同名タイトルの別OVAもありますよね。
 カチューシャ(?)、さらさらロングはヒロインの証しでしょうか。


同人誌描きました。

2001-12/05